幼少期から患ったアトピー抜きで、私の人生を語ることはできない。
過剰なステロイドのせいで身長は133㎝で止まり、
ひどい皮膚炎のために「妖怪」と呼ばれいじめを受けた学生時代。
痛みで夜も眠れず、入退院を繰り返す日々。同級生のきれいな皮膚が羨ましく、レーザーで傷を消してしまおうかと悩んだ。
しかし、「どれだけ傷ついてもこの皮膚が治し続けてくれたからこそ今の命がある」と気づいたとき、その傷を愛おしいと思った。
私は肌を隠すのをやめ、ランドセルなど低身長を活かしたファッションを楽しむようになった。この傷は誇りこそすれ、恥ではないのだ!
そして、昔の自分のように審美的な問題で苦しむ人々を勇気づけたいと考えるように。いわゆる美の基準からかけ離れた私が、個性を生かして輝いているのを発信し続ければ、誰かが楽になってくれるのではないか。
実のところ「夕霧わかな」というアカウントは、絵を投稿するために作ったものだ。
今はインフルエンサーやモデルとしての活動に使うことが多いものの、当初は絵だけを投稿していた。
美大などで絵を専門的に習ったわけではなく、幼少期より独学で絵を描き続けた。大学生になり夕霧わかなとして活動を始めると、百貨店へ絵を出展したり、個展を開催したりと様々な機会をいただけた。
絵の題材としては、普段私がする見間違いや夢うつつの時に見た奇妙な景色を、そのままキャンバスに写しとることが多い。
無意識下で見えてくる風景には、自分も気づかないうちに心に留めているものが表れてくるからだ。
また、人間のからだがこの世で最も美しいと思っているので、トルソーや無数の腕など、肉体にまつわるアイテムを好んで描いている。
私がロリィタファッションを選んだ理由は、ロリィタと私の生き方が似ていたからだ。私はアトピーと低身長を持って生まれたから、世間の人みんなが思う「美しい人」には当てはまらないかもしれない。
でも私は傷を受けながらも私を生かしてくれたこの体を誇りに思っているから、この姿をとてもキレイだと思う。
人と違うことのコンプレックスから解き放たれ、自分らしい美しさに気づいた私にとって、ロリィタはその精神にとても適したファッションだった。
ロリィタは時々、万人受けしない服だと言われることがある。
しかしロリィタには、他のどの服にもない独自の魅力と美しさがあるのだ。それらを信じて、信念を持って突き進むロリィタというファッションに、私はシンパシーを覚えた。
また、低身長をカバーしようと心を砕くより、それを際立たせるためランドセルも背負うことにした。ランドセルは人と違う私を私自身が受け入れた証。ロリィタもランドセルも、私が私らしくあるために必要なものなのだ。